オイルトリートメント(オイルマッサージ)の1つの目的は、リンパを流すことです。
そこで、リンパとリンパマッサージについて解説します。
●リンパってなに?
リンパとは、人体の中にあるリンパに関するいろんな機関の総称です。全身の皮膚に張り巡らされたリンパ管や、その中を流れるリンパ液、そしてそれを循環させるリンパ節。これらは密接に関わりあってリンパ系と呼ばれるシステムを作り上げています。その他にも、人体にはリンパと同じような役割をする脾臓、胸腺、扁桃腺など、リンパに関わりの深い臓器や組織も存在します。
(補足 : リンパ管は静脈血管の横に必ずあり全身に広がっています。最終的には心臓近くで静脈に結合しています)
リンパ系は、血液とはまた異なる「第二の循環器系」として機能しており、主に大きな二つの役割があります。ひとつは、体から不要な老廃物や有害物質を除去する役割。そしてもうひとつは癌細胞、真菌、細菌、ウイルスなどを排除する免疫の役割です。病気に感染したときリンパ節が腫れたり発熱したりするのは細菌をやっつけようとリンパ系がフル稼働している証拠です。リンパにはそれ以外にも、体の組織からいらなくなった組織液を回収して静脈に戻したり、食べ物から吸収された脂質を循環器に運ぶという役割も持っています。
(補足 : 私たちの身体にある一番細い血管を毛細血管と呼びますが、その細い血管の壁には小さな穴が開いていて一日に約20Lの水分が漏れています。この漏れ出る水分がリンパ液です。血液の中の血漿のことです。)
このように、リンパは人間の健康に欠かせない大切な役割を持っていて、リンパの循環が正常でなくなると体にいろんな不具合が生じてきます。病気はもちろんのこと、手足のむくみなどについてもリンパは深く関わりあっています。
しかし、リンパの循環には心臓のようなポンプがないため、時に流れが滞ることがあります。そういうときに循環を促すリンパマッサージが必要となるのです。
●リンパ液と循環
リンパ液と血液は、双子の兄弟のようなものです。リンパ液は、もともと血管からわずかずつ滲み出した血漿です。血液は心臓という強力なポンプで全身を循環していますが、リンパ液はポンプではなく、筋肉の収縮などの力でゆっくりと全身を巡っていきます。
半月弁という逆流防止の弁があるので、人が体を動かしているうちに少しずつ送られていくのです。この弁は体内のいろんなところにあって、弁の中にリンパ液が流れ込むとリンパ管が膨らみ、何かの力が加わるとその次の弁を通ってリンパ管を進むわけです。このようにリレー方式でゆっくり全身を巡ってゆくのです。
リンパ液はこうして全身を巡りながら老廃物などを取り込み、それを取り除いてくれるリンパ節に向かいます。リンパマッサージはこのリンパ液の循環を補助し、円滑にするために行うものですから、全身をどのようにリンパ管が巡り、リンパ液はどのように流れているのかを知って、それに沿った形でマッサージしてあげなくてはなりません。
リンパ節は体中にありますが、主なリンパ節は脇の下、膝の後ろ、太股の付け根、おなかなどにあります。そこに向かってリンパ液を押し流してゆくようにマッサージしてゆくわけです。
●リンパ液が滞るわけ
リンパ液が体内を循環する速度は、1分間でわずか30センチ程度という非常にゆっくりしたものです。血液は約1分間で全身を一周してきますから、その差はすごいものです。
リンパ液は人間が体を動かすとき、その筋肉の収縮などによってリンパ管が圧迫され、それをポンプ代わりの動力にして循環します。(逆流しないように弁がいたるところにあります)したがって、運動不足の人はどうしてもリンパの循環が滞りがちになるのです。
リンパの流れが滞ると、リンパ液が流れずに溜まった部分がむくんできます。立ち仕事の人や、一日中椅子に向かって仕事をしている人がむくみがちになるのはそのためです。同じ姿勢を長時間変えずにいることがよくないので、時々休憩をはさんで屈伸運動や体操をしたり、散歩の習慣を持つなどの工夫が必要となります。
● リンパ節
リンパ節とは全身に張り巡らせたリンパ管の合流部分で全身に約800もあります。リンパ節は体に侵入した細菌などをやっつけるリンパ球を生産し、リンパ液が運んできた老廃物をこすフィルターの役割も果たしています。また、主なリンパ節は次のような特徴を持っています。
■耳介(じかい)リンパ節
…耳たぶの後ろのやや下。風邪を引いたときに腫れたりする所。ここが弱ると耳鳴りがしたり、耳の炎症や難聴を引き起こす可能性があります。
■顎窩(がくか)リンパ節
…あごの一番奥にあり、顔から首へ流れるリンパ管が集中しています。ここが弱ると二重あごや顔のむくみ・たるみの原因となります。
■腋窩(えきか)リンパ節
…わきの下にあるリンパ節。ここが弱ると二の腕のたるみや肩こりを起こしやすくなります。
■鎖骨リンパ節
…鎖骨のくぼみ近くにあり、全身を流れたリンパ液が最後に心臓に戻る前に集まる場所で、いちばん汚れたリンパ液が流れ込むところでもあります。慢性的な肩こり・首のこりの原因のほとんどはここの滞りにあるといわれています。
■腸骨リンパ節(腹部リンパ節)
…骨盤の上の内側にあり、ここが弱ると子宮や卵巣など女性の病気の免疫力が低下したり、ヒップ回りが太くなる傾向があります。
■鼠頸(そけい)リンパ節
…太股の付け根にあり、ここが弱ると足のむくみや冷え性、セルライト、ヒップのたるみなどの原因になります。
■膝窩(しっか)リンパ節
…膝の裏側にあり、「第二の心臓」と呼ばれる重要なリンパ節。リンパ液を上に押し上げるために大きな負荷がかかる場所でリンパ液が特に滞りやすい場所です。
●リンパマッサージの手順
原則として、リンパマッサージはリンパ液の流れに沿って心臓から遠い体の末端部から各リンパ節へと皮膚をさすってゆくのが手順です。
リンパ管に圧力をかけてリンパ液を送り出すという考え方です。
リンパマッサージの大きなポイントはさする強さです。「マッサージ」という名前がついているので、皮膚の下の筋肉や脂肪にまで力を加えなくてはいけないような印象を受けますが、リンパマッサージの基本的は「タッチ」です。
リンパ管は皮膚の浅いところに分布しているので、そんなに強く力を加えると、かえってリンパ管を押しつぶしてしまうことになり、効果がないのです。ほんの少し指先に力を加え、皮膚をこする感じでリンパ液を送ってゆくのです。
まずは、リンパを流すことを意識して、心地よさを追求してください。
講座①で、リンパを流すことについて解説をしましたが、大事なことをまだ書いていません。それはマッサージのメインでもある筋肉をほぐす、筋膜をほぐす、と言うことです。これから解説します。
体がコルと言う事は、
❶ 運動不足や同じ姿勢でいたために、筋肉への血流が悪くなり、筋肉がうっ血状態になり老廃物が溜まってしまった状態
と、
❷ 脳からの筋肉を動かす神経伝達にミスが起き、筋肉を包む筋膜が硬直したまま固定されてしまったり、日常動作の中での筋膜の萎縮と伸長の繰り返しや癒着によって筋肉を包む筋膜に皺が寄ったり、硬直した状態
を指します。
つまり、身体をほぐすと言う事は、❶血流を良くして筋肉のうっ血状態を解消することと、❷筋肉を包む筋膜の皺や硬直を改善する と言う2点が主な作業となります。
そこで皆さんに覚えていて欲しいのが、
『血流を良くするためには揉めば良いのですが、筋膜の皺や硬直を改善するためには、揉む事は逆効果になる場合もあると言うことです。そのために筋膜リリースや、ポジショナルリリースと言う別の手法が取られる場合があります。』
筋膜リリース系の手技は、いろんな国の流派によって名称が変わります。なのでややこしいのでこの文章の中では、筋膜リリースとまとめて呼ぶことにします。
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まず、❷の筋膜リリースの事は置いといて、❶の筋肉を揉んでほぐすと言うことを説明したいと思います。
筋肉に対して圧迫を加えていくと、筋肉内は一時的な”虚血状態”に陥ります。その状態から圧を抜くと、周辺の血液が加速して流れ込んできます。この「虚血」→「血液の流入」を繰り返し行うことで、通常時よりも血液を循環させることが「マッサージの原理」となっています。
ホースを思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。ホースを圧迫すると水が一時的に止まります。そして話すと勢いよく水が流れ始めます。
これを繰り返すことで筋肉の中の老廃物が流れ、血流も良くなりコリが取れていきます。
血液の流れが良くなると、筋肉内に”新鮮な血液”が行き渡ります。この新鮮な血液の中には「新しい栄養」が豊富に入っています。硬くこわばっている筋肉に「新しい栄養」が入っていくと、筋線維間の”連結”が外れ、こわばりがほぐれてきます。
「”連結”がほどけてこわばりが解放される」というのは、それだけ筋肉が ”大きく自由に伸びることができるようになる” ことを意味します。
つまり、筋肉のコリが取れると、関節も自由に動きやすくなるので、肩や腕がぐるぐる回るようになります。
これが代表的な筋肉のコリを揉んでほぐすと言うことです。
あれれ、そうするとリンパは軽く触れて押し流すことがいいと言っていたのに、筋肉をしっかり揉まなくてはいけないの? と思うと思います。その通りです。
なので、一般的なマッサージ店では、指圧をやった後にオイルマッサージをやるコースが設定されていたり、オイルマッサージだけどオイルをつけたまま指圧もしっかりやりますと記載しているお店がある理由です。
THIRD WAVEでは、オイルでリンパを流しながら要所要所でツボを押したり、こっている筋肉を指圧してほぐしたりも同時に行うお店がたくさんあります。
【だけど、それだけではほぐれないのが、❷の脳からの神経伝達ミスで硬く固定されてしまった筋肉を包む筋膜、そして日常の動作で皺が寄ったり硬直した筋肉を包む筋膜の異常なのです。】
次回は、その筋膜について詳しく解説します。
[補足: 筋膜上の痛み発生の仕組み]
筋肉は収縮と弛緩を連続して行う中で、筋膜上に皺の集まった痛点を発生させます。痛覚のある筋膜が皺として集まることで、痛点が生まれます。緊張は、筋肉と周囲の筋膜を介して伝達されます。(多くの場合、筋膜経線というものに沿って両方向に渡って伝達されます)
筋肉は、筋膜という薄い膜に包まれています。筋膜に包まれた筋肉は、さらにグループごとに筋膜に包まれています。
筋膜とは筋肉を包む膜のことで、体全体に張り巡らされ、表層から深層まで立体的に包み込むため、組織を支える第二の骨格であるといわれています。(筋膜は筋全体を覆っている最外層の筋外膜、いくつかの筋線維を束ねて覆っている筋周膜、さらに筋線維1本1本を包む筋内膜との3種類に分けられます。)
この筋膜は柔らかい組織なので、委縮・癒着(ゆちゃく:からまる、くっついてしまうこと)しやすい特徴があります。この筋膜の委縮や癒着が時に痛みを招き、また筋肉の柔軟性を損なう原因になり、結果的に❶の筋肉のうっ血状態を引き起こすことがあります。
(筋膜には痛覚があるのでシワが寄るとその寄った皺部分の痛みが強烈になります)
例えば、腰や背中に痛みやコリのある方は、おしりやふともも、股関節部位などの「痛みのある部分の周り」の筋膜をリリースすることによって、症状を改善することができます。肩などの痛みなども同様で、肩や首、腕やわきの下などの筋膜をリリースすることによって、改善することができます。
筋肉がスムーズに動くためには、筋膜の滑りの良さが必要です。筋膜を柔らかくし滑りを良くして、解きほぐすことを「筋膜リリース」と言います。筋膜リリースを行うことにより、筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大します。
筋肉をいくら解してもそれを包み込む筋膜を解さなければ、いつまでたってもコリや痛みは取れないのです。筋骨格系の痛みと機能障害の大部分は神経や関節の組織からよりも、筋膜から起こっているとも考えられています。
筋膜で包まれた筋肉のブロックは、筋筋膜経線と言う筋肉の相互関連するつながりを持って存在しています。そのため、そのつながりのある一部がコッてしまうと、そことつながりのある他の部位まで痛くなってしまうということが起こります。場合によっては、本当にコッているところよりもそのつながりの先にある他の部位が痛くなったりすることもあります。肩が本当はコッているのにふくらはぎが痛くなることもあるのです。人体は時計のパーツのように相互に関連を持って存在しています。肩が痛いからといって肩だけを揉んでも治るわけでは無いのです。
筋膜をほぐす方法は、体を一定の姿勢で保持させる手法や、手技やカッピングやローラー等の道具で筋膜を無理矢理引き剥がす手法や、90秒間適度な強さで圧迫し、自然に筋膜が収縮する特性を利用したものなど多岐に渡ります。
ここでは初心者の皆さんへの解説ですので割愛させていただきます。その代わりに筋膜が連携している基本パターンとなる4つを紹介させていただきます。
今は詳しいことがわからなくても構いません。
・とにかく筋肉は筋膜に包まれていて、筋膜リリースで筋膜を解放しないと身体も筋肉も解れないことがあります。
・筋膜は相互に連携しあっているため、繋がった先の部位まで筋膜リリースをしなくてはいけないことがあります。
この2つをしっかりと覚えておいてください。
リンパを流し、筋肉をほぐし、筋膜をリリースしたらオイルトリートメントは完璧でしょうか ? いえ、お客様は 治療だけ に来ているわけではありません。リラックスをして心地よさも体験しにいらっしゃっています。ただ治療だけであれば保険のきく治療院に行けば良いのです。
講座④ では、心地よさや気持ちよさの追求とホスピタリティについて解説をします。またそれに関連して東洋経絡についても解説をします。
『施術は、ご予約前からはじまっている。』
シフトの更新や、ホームページの分かりやすさ、ご予約のメールへの返信の早さやご案内や言葉、礼儀の適切さ。また当日の服装や身だしなみ、心遣い、そうしたところも施術の一部だと考えておもてなしをいたしましょう。
『施術のちょっとしたポイント』
① 痛くない強さで筋肉をとらえる。骨は押さない。
押す場所は筋肉です。骨を押すと痛いし危険です。筋肉をやさしくとらえます。
② ストロークはゆっくり大きく
せわしなく小刻みに揉んだりすると、気分が落ち着きません。大きなストロークでゆっくりと手を動かします。
腕なら、手の甲から肩まで大きくストロークをとると、とても安心できます。
ポイントは、大きくゆっくりとしたストロークの手技でお客様の呼吸がゆっくりになるようにコントロールし、副交感神経を優位にさせ、深いリラックスに導くことです。興奮すると呼吸が速くなりますが、その逆も然りで早い呼吸をすると興奮します。リラックスするとゆっくりした呼吸になりますが、逆にゆっくりとした呼吸にすればリラックスをするのです。
★ 豆知識
イギリスで行われた実験によると、対象者の肌を3つの異なる速さ(1秒に50cm、1秒に5㎝、1秒に0.5㎝)でなでたときに、最も気持ちいいと感じられるのは1秒に5㎝の速さということがわかりました。そして、その速度でふれたときに最も反応する神経線維「C触覚繊維」というものが発見されたのです。
「C触覚繊維」は、1秒に5㎝の速さでふれるともっとも興奮し、それ以上でもそれ以下でも興奮しなくなります。ここに受けた刺激は神経線維を伝って脳へ届き、呼吸や血圧を司る「脳幹」、感情に関わる「扁桃体」、自律神経やホルモンの調整を司る「視床下部」、情動や「自己」の意識とも深く関わる「島皮質」、意思決定や感覚統合する「眼窩前頭皮質」等広い範囲に影響し、体全体のホメオスタシス(体温や免疫力、血糖等を一定範囲に保つ機能)や、アロスタシス(ストレスを受けたときに生じる体の変化を、元に戻す機能)を一定に保つ働きをしています。
③ 指先よりも、指の腹と手のひらで、体重をうまくかけて
指先で押すと痛いです。指の腹や手のひらを使い施術をします。
また、押す時も楽な姿勢や位置に自分が動き、無理をしてはいけません。自分の腰等を痛めてしまいます。
体重のかけ方、重心の置き方ひとつで、自分へのダメージも防げます。
④ 指を離す時と肌に触れる時は静かにタッチを。施術の途切れ目を感じさせない。
お客様の肌に触れたり指を離す瞬間、そっと離すことで、心地よさはかわります。急に勢いよく触れたり、急にパッと離すと、眠っていた人でも驚いてしまいます。できるだけ静かに滑らかに行ないます。
⑤ 会話は受け身で。
施術中は頭も休めていただいてください。こちらから次々に話しかけて、お客様の頭を働かせないように注意しましょう。身体と同時に、お客様は心も休ませたいのです。会話は受け身で、お客様からふられたら、手短に返事をいたしましょう。
心地よいオイルトリートメントができるようになったら、ツボを覚えてみましょう。
オイルトリートメントをしながら、東洋経絡上のツボをところどころしっかりと5秒程度押すことで施術がプロっぽくさまになってきます。
さらに、ストレッチも多少入れると、ますますそれっぽくなってきます。(無理なストレッチや、ご年配の方へのストレッチは危険ですので控えましょう)
以上が、初心者の方にまず覚えていただきたい基本のほんの一部になります。
マッサージの勉強をしていると、
アナトミートレイン
ポジショナルリリース
カウンターストレイン
オステオパシー
トリガーポイント
筋膜リリース
東洋経絡
タイ古式のライン
といったようないろんな流派やキーワードがでてくると思います。
最初はとても混乱すると思いますが、基本的にどの流派も、似たりよったりしています。例えば、西洋のトリガーポイント理論と、東洋経絡は90パーセントくらい重なっています。また、日本のあん摩指圧師の国家資格のテキストと、タイ古式マッサージのテキストは内容が酷似しています。
なので、あれこれ読まずに、最初は一つの流派をじっくりと勉強してものにしてみてください。
英語と中国語の文法が同じなのと似ています。英語ができたら、中国語も覚えるのがはやいと言います。
どれか一つの手法や流派がわかっていれば、他の手法や流派の理解が飛躍的に伸びます。結局、人体ですから、どの国で生まれた流派にせよ、だいたい同じようなことを違う視点から解説しているだけなのです。
施術は職人道なので、10年でようやく新人と言われます。それまでは誰しもが新人以下です。自分もまだ新人以下です。それくらい奥が深い世界なので、楽しんでスキルアップをしていってください。ものすごく長い道ですが、人を癒し、人に感謝される、とても楽しい道です。
青山直樹
補足
※ 「筋硬結(きんこうけつ)」とは、筋肉の一部が硬くこわばり、押すと痛みを感じるしこり状の部分を指します。
マッサージ・鍼灸・理学療法などでよく使われる臨床用語で、マッサージではこれをとることが主目的の1つになります。
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🧠 基本的な定義
筋硬結とは、
筋線維の一部が異常に収縮したまま弛緩できず、血流が悪化し、代謝物(乳酸など)が滞留している状態を言います。
その結果、局所的に
• 触ると硬いゴリゴリした感触
• 押すと痛み(圧痛)が走る
• 放散痛(離れた部位にも痛みが広がる)
といった症状が現れます。
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🔍 成り立ちのメカニズム
1. 筋肉の過緊張・使いすぎ
→ 長時間の同姿勢、スポーツ、ストレスなどで筋が持続的に緊張
2. 筋線維の微小損傷
→ 微小な炎症が起こり、局所的に筋線維が硬化
3. 血流低下と代謝物の蓄積
→ 酸欠や老廃物(乳酸・ヒスタミンなど)が溜まり痛覚を刺激
4. 神経過敏化・慢性化
→ その部位が脳に「痛み」として記憶され、慢性的なこりに移行
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📍 よく見られる部位
• 肩(僧帽筋、肩甲挙筋)
• 首(胸鎖乳突筋)
• 腰(腰方形筋、多裂筋)
• 臀部(大殿筋、中殿筋、梨状筋)
• 太もも・ふくらはぎ
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🧩 筋硬結とトリガーポイントの違い
筋硬結は母体、トリガーポイントはその中の痛みの核という関係です。
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💆♂️ 改善方法
• 温熱療法(血流改善)
• ストレッチ・軽運動(筋ポンプ作用で代謝促進)
• 指圧・マッサージ(硬結をほぐし血流回復)
• 鍼治療・低周波療法(神経反射で緊張緩和)
• 筋膜リリース(筋膜の滑走性の低下を解消)
• 生活習慣改善(姿勢・睡眠・水分補給・ストレス軽減)
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⚠️ 放置すると
慢性化すると神経過敏が起こり、
• 頭痛・肩こり・腰痛
• 自律神経の乱れ
• 睡眠障害
などを引き起こすこともあります。
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「筋硬結を安全かつ効果的に見つけて緩めるための実践的ガイド」を、専門家向けの内容でまとめます。
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💆♂️ 筋硬結リリース実践ガイド
〜触診・圧・方向・禁忌・心理的配慮まで〜
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🔍 1. 筋硬結の見つけ方(触診の基本)
✅ 触診の順序
1. 目で観察
左右差・姿勢・皮膚の色や張りを確認。
筋硬結部位はわずかに隆起し、皮膚が張っていることが多い。
2. 表層を滑らせる触診(皮膚・筋膜)
指の腹で軽くなぞり、滑りが悪い部分・沈みにくい部分を探す。
そこに「硬結の入り口」がある。
3. 中層・深層への圧診
親指・母指球・肘などを用いて、
「筋線維に沿って(縦方向)」「筋線維を横切って(横方向)」両方を確認。
硬くゴリッとした索状物があれば筋硬結。
🔸 感触の特徴
正常筋
弾力あり、均一
痛みなし
軽度硬結
ややゴムのように硬い
押すと鈍痛
強い硬結
紐状・豆状のしこり
押すと強い圧痛、時に放散痛
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🩸 2. 筋硬結リリースの安全な圧の原則
⚖️ 基本原理
• 「圧す」より「待つ」
急に潰すのではなく、呼吸に合わせてゆっくり沈める。
• 筋繊維に平行にゆっくりと
「筋線維に平行」に指を滑らせることで、神経反射を起こさずに緩みます。筋線維に平行な刺激は「筋紡錘反射」を避けることができます。
🔸 筋紡錘とは?
筋肉の中にあるセンサーで、
「筋がどれくらい伸ばされているか」を常に監視しています。
• 急に押したり、引っ張ったりすると、
筋紡錘が「危険!」と感じて筋を収縮させる。
→ 防御反射(ストレッチ反射)
これが、強い圧で押すと筋が“硬くなる”理由です。
※ 筋繊維の方向は、筋肉が骨に付着する起始と停止を結ぶラインに沿っています。ほとんどの筋肉は、この走向に沿って収縮し、力を発揮します。筋繊維の方向を知ることは、マッサージやトレーニングを行う際に、適切なアプローチをする上で非常に重要です。
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🧘♂️ 3. 緩め方のテクニック
🪶 (1) 持続圧(Ischemic Compression)
• 指または肘で硬結部を押し、20〜90秒キープ。
• やや痛気持ちいい程度(10段階で5程度)を保つ。
• リリースの兆候:
→ 硬さがやや沈む、痛みが鈍くなる、温かくなる。
🌊 (2) ストローク(ストリッピング法)
• 筋線維に沿ってゆっくり滑らせる。
• ストロークは3〜5回まで。
• 目的は「血流再開」と「筋膜の滑走性回復」
🌬 (3) 呼吸連動
• 施術者:「息を吐いて〜」に合わせて圧を加え、吸うときに戻す。
• 副交感神経が優位になり、筋が弛緩しやすくなる。
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🚫 4. 禁忌・注意すべきケース
強い炎症(急性腰痛・ぎっくり腰)
絶対に押さない。冷却と安静。
血管疾患(静脈瘤、深部血栓)
圧迫で悪化する可能性。
高血圧・心疾患
強圧は避け、短時間で。
骨格変形・手術後
医療的判断が必要。
しこりが非筋性(腫瘍など)
医師確認が必須。
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💬 5. 施術中の心理的アプローチ
筋硬結は、単なる「筋の塊」ではなく、
ストレス・感情・姿勢の記憶が蓄積した場所でもあります。
• 「ここ凝ってますね」ではなく
→「ここ、緩めていきましょう」と伝える
• 呼吸誘導で「脱力」させる
• 痛みの表情をよく観察し、表情筋の緊張を解く声がけをする
👉 マッサージでは特に、肉体的な緩みと心理的な安心感を同時に生むことで、
副交感神経が活性化し、筋硬結が自然にほどけやすくなります。
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🧩 6. 施術後のケアと再発防止
1. 温める(血流促進)
2. 水分補給(代謝老廃物の排出)
3. 軽いストレッチ・深呼吸
4. 睡眠(修復に必須)
5. メンタルケア(慢性的緊張の背景に心理的要因がある場合)
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✍️ まとめ
触診
皮膚→筋膜→筋層の順で探る
圧
強さよりもスピードとタイミング、圧の深さ
テクニック
持続圧・ストローク・呼吸連動
禁忌
炎症・血管・骨・腫瘍
心理的配慮
心、呼吸から「緩める」
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筋肉は「どう押すか」だけでなく、「どんな姿勢・角度、圧力でどのように刺激するか」によって、生理的な反射がまったく変わります。
そして、マッサージをする際に筋肉が緩みやすいお客様の体勢を意識することも重要です。
ここでは、筋肉が緩みやすくなる姿勢の原理を、ポジショナルリリース(Positional Release)理論を中心に、マッサージ・鍼灸・オステオパシー的観点から丁寧に解説します。
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🧘♂️ 筋肉が緩む姿勢とポジショナルリリースの原理
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🧩 1. ポジショナルリリースとは
Positional Release Therapy(PRT)=「姿勢による筋緊張の解除法」
アメリカの整骨医 Lawrence Jones が提唱したオステオパシー技法で、筋を最も短縮した姿勢に置くことで、筋紡錘の緊張を解除するというものです。
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🔬 背景の生理学
筋肉の中には「筋紡錘」というセンサーがあり、筋が伸ばされると反射的に収縮します(=ストレッチ反射)
そのため、無理に伸ばすと“防御反射”が起こって余計に固くなる。
逆に、
筋をゆるめて、縮んだままの姿勢にすると、
筋紡錘の発火が低下し、「もう緊張しなくていい」と脳が判断します。
→ その結果、筋のトーン(緊張度)が下がるのです。
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💡 つまり:
「身体が楽になる姿勢体勢に近づける」ことで、筋は自動的にゆるむ。ということです。
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🧭 2. 緩みやすい姿勢の見つけ方(実践原理)
1. 痛み・張りを感じる筋を見つける
触診で圧痛点(トリガーポイント)や硬結を確認。
2. その筋を短縮する方向に関節を動かす
例:僧帽筋上部なら、
首を少し後屈+側屈+回旋して「楽な方向」に傾ける。
※ これ、触るとわかります。筋肉が張ってない、ゆるんだ感じになります。
3. 痛みが70%以上軽減する姿勢を探す。これが“リリースポジション”です。
4. ゆっくり中間位に戻す
戻すときに神経反射が「再設定」され、筋のトーンが低下します。
※ 要はストレッチの逆です。ストレッチは筋肉を伸ばしますが、伸びない状態にしてあげることで筋肉はゆるみ、その姿勢でマッサージをすることでさらにゆるみやすくなります。
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🦴 3. 部位別:筋が緩みやすい代表的姿勢
首 僧帽筋上部
首を後屈+患側に側屈+同側回旋
肩甲部 肩甲挙筋
肩をすくめて首を少し後屈
背中 菱形筋
肩甲骨を内転し、背中を軽く丸める
腰 腰方形筋
同側への側屈+軽い後屈
臀部 梨状筋
股関節を外旋+膝を軽く曲げる
太もも裏 ハムストリング
股関節を屈曲せず膝を曲げる
ふくらはぎ 腓腹筋
膝を曲げ、足首を軽く底屈
🧠 ポイント:
「伸ばすストレッチ」は筋を引っ張る刺激。
「リリース姿勢」は筋を“甘やかす”刺激。
緊張が抜けることで、深部の筋硬結まで自然にほぐれていきます。
🩸 4. 神経反射的な仕組み
筋紡錘が「伸ばされていない」と認識すると、脊髄反射回路(γ運動ニューロン)の活動が低下し、筋緊張が落ちます。
さらに、姿勢保持中に血流が回復し、乳酸やヒスタミンなどの代謝物が洗い流され、痛み物質の濃度も低下。
→ 筋が生理的に“鎮静状態”になる。
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🌙 5. マッサージ・リラクゼーション施術への応用
💆♂️ 活用法:
• 施術中に「力を抜いて」と言っても抜けない人には、
リリース姿勢で支えてあげる。
• たとえば、肩を支えて少し挙上し、頭を預けてもらうと僧帽筋が緩む。
• 臀部では、クッションを膝下に入れるだけで腰方形筋がリリースされる。
💫 効果:
• 防御反射が出にくい
• 安心感・信頼感が高まる
• 呼吸が深くなり、副交感神経が優位になる
• 「押していないのに緩んでいく」という体験を与えられる
※ 頭頚部は頸動脈圧迫を避けるため、施術しないでください。
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適切な圧を適切な手技でかける時、この適切なお客様の姿勢体勢(ポジション)で心理面、呼吸面を意識しながら行うことで、最高のマッサージ体験を味わってもらうことができます。
また、予約への迅速かつ丁寧な返信、接遇、爪の長さ(あたって痛い)、清潔感、施術ルームの清潔さ、温度、等もお客様を癒す大切な要素ですので、抜かりなくよりよくしていきましょう!(自分の体重をお客様にかけないようにも注意が必要です。重いと苦しいですよね)
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